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フルみっくすプレイヤ

  • 澪の既聴ぼかろ曲

カタチ

2008/05/30

その銃と位置(マテ

………の予定だったんです。

このあと、マスターを追いかけた椎雫が、マスターの友人に見つかって色々大変なことになるというお話の予定だったんです。


が………


マスターの性格がどうこういう前に、お話がまとまってないので、一旦中断します。
やっぱり、下書きもなしに公開するのは駄目でした。
毎回中途半端になってること、申し訳なく思います。


本来ならこの小説の記事がメインになる筈だったページなので、諦めはしませんけど、どうしようもないほど先が見えてこない話を書き続けるより、もう少し考えてから書き直したほうがいいと思ったので、こういう決断になりました。

ただ、もし「やめないで」とかいう声があがったら、私は下手でも続けるかもしれません(ぇ
なんにせよ、周りからの声に弱いのが私ですww


イタチさんに負けないヒロインを書くべく、私の修行は続きます。


そういえば一次考査くらい通ってるかな………「ゼロカノ」………

まだ「落選」という報告は着てないので、分かりませんが。
………って良く考えたらまだ一次交差してる途中だよねw
ま、気を長くして待ってることにします。

ではでは。
小説家志望の願望と決意(?)でした。

2008/05/24

その銃(ぇ


「………眩しいですね」
 目を半分だけ開きながら、誰にともなく呟きます。
 ひょう、という音に、風の存在を思い出します。
 ……そういえば、外に出るのはどれくらいぶりでしょうか。
 マスターとの約束があったので、自分ひとりで外に出るのはこれが二回目。
 あれは、半年くらい前でしたか?……おかしいですね。記憶が曖昧です。
「…………マスターの学校は……っと」
 確か、右でしたっけ。
「確か………?」
 ………おかしいです。
 そう、どうして、『確か』なんて言葉が出てくるんですか?
 私の記憶が……曖昧、なんて………?
「………マスターに訊けば分かります、よね」
 自分に言い聞かせるように言って、右へと歩き出します。
 歩道……というらしい白線の内側を歩きます。
 マスターが言うには、人は右側を歩くそうです。
 私は左側を歩きます。
 ………そう言ったら、物凄く笑われました。
 私は……人なんだと、マスターは言います。
 ですが、私は機械です。
 隣を高速で横切る「くるま」さんたちと一緒です。
 ですが……あの「くるま」さんたち、きつくないんでしょうか。
 人を乗せて運ぶ、それが役割らしいのですが……私にはとても真似できません。マスターを一人抱えるので精一杯ですね。
 と、考えていたとき。
 にこやかに笑う、若い女性に何かを差し出されました。
「…………?」
 人にあったら挨拶をするのが礼儀――でしたっけ。
 戸惑いつつも、そのことが浮かんできたので挨拶をします。
「こんにちは」
 言いながら軽く頭を下げます。が、その角度は13度まで。それ以上はマスター以外には許しません。えぇ。
 ですが――何かを持った手を前に出すだけで、その女性は何も言いません。
 ………何の用なのでしょうか。
 分からないまま、立ち止まります。
 その女性の頬に汗が見えます。………暑いのでしょうか?そんなに気温は高くはないのですが。
「あ、あの………何か?」
「はい?何か用があったのではないのですか?」
 何か、といわれましても。そちらから、ではなかったですか……?
 視線を外されました。
 ………どうやら、私は避けられてしまった模様です。
 私、何かしましたか?
 良く分かりませんが………仕方ありません、進みましょうか。
 その場を離れ、真っ直ぐ行く道を歩きます。
 ふと振り返ってみると、先程の女性が他の男性とすれ違いざまに何かを渡しているようです。
 …………?
 あの男性が何かをしたようには見えませんし……ただ受け取っただけですか?
 ………分かりませんね。
 人って、何がしたいんでしょうか………
 考えながらも歩きます。
 なんだか、道は上下にうねっていて、歩きづらいです。
 マスターの学校は……山の中、でしたか。
 ………この上、でしょうか。
 森、と言うのでしょうか……その、坂道が無いところは、葉の緑と、影の黒しか見当たりません。
 ここから上っていくのは……多少、きついものがあるのですけど………
 まぁ、私は大丈夫、でしょう。
 機械ですし。
 誰もいない細い道を、ひたすらに登っていきます。
 そこらに、建物のある雰囲気は、まったくありませんでした。





………うーん。
またしても微妙だ。
これじゃぁ何が書きたいのかが分からないw

どーにかせねば。
……書き換えるって選択肢もあるんですけど、今までに二つ打ち切ってるので、もうちょい粘ってみます。
というか、ここ読んでくれる人いるのかな………?w

2008/05/16

そのきゅう。


 朝です。
 マスターはいつも通りまだ寝ています。
 まぁ、私の役割なのですから仕方ないのですが、一度はマスターが料理する姿を見てみたいものです。
 ………味見は遠慮願いますが。
 いつも通りの手抜きですが、これが一番好きなのですから仕方ありませんよね。
 じゅーじゅー、と卵が焼ける音を聞きながら、マスターを起こすべく声を上げます。
 ………卵は一つだけです。
「マスター、朝ですよー!」
 もちろん………マスターがこれで起きる筈はありません。
 起きたら、きっと今日は厄日です。
 外出は控―――
「う……ん………?」
 ――――厄日ですかっっ!
 こ、これは大変です!
「ま、マスターっ!?何があったんですか!?」
「うん………?どうしたも何も………?」
 ………こ……これはどうしたことでしょうか。
 マスターが声をかけるだけで起きるなんて………
 鼻と口をふさいでも、氷をシャツの中に入れてみても起きないのに………。
「……良く寝たぁ………」
 ………あぁ、そういうことですか。
 マスターがあの時間に寝ることは珍しいですもんね。
 おっと。
 それなら二人分作らなくてはいけませんね。
 マスターにあわせていては私の生活時間が乱れてしまうのでいつも食事は一人なのですが、今日は久しぶりに朝から一緒です。
 ………今更ながら手抜き料理に後悔します。
 厄日です。えぇ。厄日ですとも。


「………ねぇ、椎雫?」
「何ですか?」
 私のほうを怪訝そうに見るマスター。
 私の食べ方に何か不思議なところでもあるのでしょうか。
「……変な食べ方するね」
「何をいってるんですかっ!」
 私は声を荒げます。
「マスターの食べ方が邪道なんですっ!いいですか!」
 私はまだ手をつけていない食パンを掲げました。
「耳の固めの食感と微かな味!そして真ん中のふわりとして、それでいてべたつかない白の部分!」
 パンっ!という音と共に、食パンが色別に分離されます。
「この二つの味は一つずつ味わうのが通なんです!一緒に食べるのは邪道なんですっ!」
「そ、そうなんだ………」
 偉大なる食PAN道におののき、見を引くマスター。
「これが分からない人は食パンを食べる資格はありませんっ!」
「いやそれは言いすぎじゃない………?」
 ぐ、っと拳を握る私に余計なことを言うマスター。
「………こういうのはノリなんです。口をはさまないで下さい」
「ご、ごめ………」
 分かればいいんです。
 なにやらおどおどしているマスターは置いておいて、私は食べかけの『く』の字と『ロ』の字をほおばります。
「………♪」
「なんで椎雫が食パンが好きなんだろ………」
 ………だれが教えるもんですか。
「初めて食べたプリンとかが好きなのは分かるんだけどさ………なんで食パン?」
「秘密です」
 心の中でマスターのいう誤りを訂正しつつ、言います。
 私が初めて食べたものこそが食パンです。
 マスターは、私が『味覚』を得てからの話をしているのです。
 いえ、あれは胃が機能してからの話でしたっけ………?
 ………まぁ、良いです。
 私がはじめて食べたのが食パンであれば、それで。
「………ごちそうさま」
「っん。ごちそうさまでした」
 ほぼ同時に別メニュー・・・・を食べ終え、食後の挨拶。
 礼儀、らしいのですが、礼儀というのがなんなのか、いまいち良く理解できません。
 常識、とも違うみたいですし。
「じゃ、行ってくるね」
「え?………まだ7時ですよ?もうですか?」
「せっかく早起きしたんだし………たまにはね」
 ………たまにはここでゆっくり、でもいいと思うのですが。
 ですが、それを言うわけにはいきません。
「そうですか。……いってらっしゃい、マスター」
「うん、いってきます」
 あの服は一体何日着替えないつもりなのでしょうかね。私がこっそり洗ってなければ、上着は多分一ヶ月は毎日着てますよ………?
「………行っちゃいました」
 また、暇です。
 特に買い物などもする必要はないで―――おや。
 食パンがなくなってるではないですか。
 明日の分まではあったはずですが………?
「………マスター?」
 と、自分で呟いて思い出します。
 そういえば、熱がこもってしまって食べてしまった気が………
 夕方にでもマスターに付き合ってもらいましょう。
 それより、『学校』というのは何をするんでしょうか。
 マスターは「勉強するところ」と言いますが、マスターの知識はあまり増えていませんし。
 人付き合いを学ぶところ、とも聞いたことがあるのですが、マスターのあの人嫌いではどうしようもないと思うのですが。
 ………見に行ってみましょうか。
 まだ『学校』は始まってないですし。
 たまには、いいですよね。
 私がドアノブに手をかけると、私の頭に警告文が下ります。
 それでも無視しようとすると、私のプログラムに命令文が下ります。
 ………マスターが自慢する、自作セキュリティというやつです。
 が………マスターの知識は私の知識。
 マスターが作ったものなら、外すことができます。
「……しかしいつも思うのですがこのパスワードは一体なんでしょう………?」
 shina
 私の名前、というよりも、随分と前に私が目にした『シーナ』という人の名前のような気がしますが。
「………まぁ、行きますか」
 セキュリティをかけなおして、私は扉を閉めました。





あれ?
マスター不登校児じゃないの!?w
えぇ、マスターは普通に学校に行ってますよ。
ただ―――いえ、ここからは椎雫の尾行で分かるでしょう。
ふふふw

ではでは。
不定期更新ですが、また今度です~

2008/05/09

そのはち。


「ね、椎雫?」
「はい?何ですかマス―――」
 私の言葉は途切れました。
 マスターが手にしているものを目にしたからです。
「見ちゃ駄目です――っ!」
「ってちょっ!そ、それは駄目それは駄目死んじゃう死んじゃうから!」
 私が振り上げた椅子を見て慌てるマスター。
「忘れてくださいっ!」
「人の記憶はそんな便利にでぎぁーっ!」
 がん。
 ………さすがに直撃は駄目なので、軽く落とすまでに留めましたが。
「マスターっ!」
 柔道なら一本取られている体勢のマスターから日記を奪って、私はマスターに詰め寄ります。
「いや、あの、見ようとしたわけじゃなくてね、その、えーと………」
「言い訳は良いです!」
「………ごめん」
 どうしてどうして、人がちょっと喜んでいたのにいきなり蹴落とすんですかっ!
 ………マスターのばか。
 言葉を言う気が失せて、そっぽを向きました。
「ね、ねぇ椎雫」
「…………何ですか」
 いつもの倍くらい低い声で返事をします。
「あの、えー………。あのさ、それ、日記………だよね?」
「だから何なんですか」
「………日記の書き方、知ってる?」
「知ってます!馬鹿にしてるんですかっ!?」
 私はやっぱり叫んでしまいます。
「いや、その………これ、小説っぽくなってるよ?」
「日記と小説じゃぁ全然違います」
「だから………いや、その―――やっぱりいいや」
 それもそれで椎雫らしいか、と呟くマスターに私は眉をひそめます。
「そこまで言ってやめないで下さい」
「ううん、何でもないよ。ちょっと書き方が気になっただけ」
「だからそれを言ってください」
「いや、そのままがいいよ、うん」
「じゃぁ何が違うかだけでいいから言ってください」
「………ちょっと説明が難しいなぁ」
「もうっ!焦らすのは嫌いです!」
 ぐだぐだじゃないですか!
「いや、焦らしてるんじゃないんだけど……ただ、回想してるみたいだな、って思っただけ」
「……回想、ですか?」
「だって普通の日記って、『何があった』っていうのを書くものだから、そのとき考えたことまで書く人はいないと思うんだ。」
「………よく、分かりません」
「要するに、椎雫は記憶力がいい、ってこと」
 ………はぁ。
 結局何がどうしてこの話が出てきたのかも分からないんですが。
「でも、その方がいいよ」
「どうして、ですか?」
 分からないなりに、理解に努めますが、『その方』がどっちなのかも分かりません。
 ………これはマスターの言い方に問題があるかと思いますが。
「椎雫の書き方のほうが、いいよ」
 と、マスターもそのことに気付いたのか付け加えました。
 ………その代わり、理由は言ってくれませんでしたが。
「……どうして、ですか?」
 もう一度、私は訊きました。
「もう一回見たとき、思い出しやすいでしょ?……忘れた、後でも」
「マスター?………私は、マスターの許可がない限り、ほとんどの記憶は残りますよ?」
「…………」
 マスターが沈黙します。
「……マスター?」
「あ、―――うん、そうだね」
 言いながら、乾いた笑みを浮かべるマスター。
 ………何か、あるのでしょうか。
「マスター………?」
「だ、大丈夫大丈夫。ちょっとぼーっとしちゃっただけだから」
「熱でもあるんじゃないですか?ちょっとごめんなさい」
 マスターの額に手を当て――る前に逃げられました。
「ぼ、僕、―――もう寝ないとっ。椎雫も、ほら!」
 明らかに動揺しながら私から逃げるマスター。
 ………あれは、私の行為に慌てているわけではないようです。
 なら、何故。
 私、何か駄目なこと、しました?
 ここ10分の行動を振り返ってみますが、大したことは見つかりません。
「椎雫、早く」
「………はい」
 何かモヤモヤとした疑問を残しながら、私は言われるまま、布団へと向かいます
 ………もちろん、マスターとは別です。
「……おやすみ」
「…………おやすみなさい、マスター」
 かちん、と小さな音がして、照明が消えます。
 目を閉じて、横になります。
 昔は眠ることなんてできませんでしたから、夜は何よりも忌むべきものでした。
 今では、必要な休息の時間であると共に………私が物事を考える時間でもあります。
 ………日記を書いたので、色々と思い出しました。
 改めて、私が、機械であることも。
 人ではないから、人であるマスターが何を考えているのか、分からないんだと思います。
 ………元々は私は、形の無い存在だったのですから、今の私があの頃の私と同じかどうかなんて、分かりません。
 ただ、記憶だけはずっと繋がっています。
 そういえば……マスターは記憶の話をしたら、慌て始めたのでしたね。
 何か記憶に関して、嫌な思い出でもあるのでしょうか。
 ………分かりません。
 仕方がありません、今日は寝ましょう。
 目を瞑ってじっとしていれば、そのうち眠ってしまうはずです。
 昔のように、怖くてマスターの隣で寝ることもないですから。
 見えないマスターの背中を見ながら、私は深い眠りにつきました。





伏線張りすぎた感が否めないよ(泣
けど、行き当たりばったりで今後も突っ切るっw

2008/05/08

そのなな。

 ――――そして、次に私が聞いた音。
「Happy bith day、椎雫」
「………ます………っ!?」
 ―――変。
 それが、そのときに感じたものをあらわす、一番の言葉だと思います。
「大丈夫。慣れないかもしれないけど、落ち着いて。『触覚』が加わっただけだから、落ち着いて」
 触覚。
 この……何かが………なんというのですか、これは。
「椎雫、聞こえる?―――椎雫?」
「はひゃっ!?」
「ごめんっ!――触られるのも、今は駄目かな………」
 ここは………手?
 手、というところから何か、何かの感触。
 感触………これが―――触覚、ですか?
「何か喋るのも………変です」
「なれるまではそうかもしれないね………赤ちゃんと一緒だからね………」
 視覚は―――今までと一緒です―――あれ?何ですかこの見えない点は?
「うわ……目が綺麗………ってこれじゃ変態だね、ごめん」
 ますたーは私の目を覗き込んで、ぱっと離れました。
 ………ですが。
「椎雫っ♪」
「えひゃぁぁっ!?」
 ぎゅ、ではなくて、がば、っと抱きつかれました。
「おー……体温も正常だねー」
「い……は、はひいぃぃっ!?」
 動きたいのにどこをどうすればいいのか全く分からず、動くことができません。
 何が起きてるのかも分からなくて、唯一動かせる口だけがかすかに動くばかり。
「うん?心拍数が高いけど?―――椎雫大丈夫?」
 抱きしめられるという感覚は初めてで、びっくりして、でも暖か



 …………。
「あ………?」
 ぽたり、と何かが落ちました。
「え………どうし…………て………?」
 拭っても拭っても、止まりません。
 前が、もう何も見えません。
「マス……ターっ………!」
 凄く、胸が痛い。
 何の異常も無いのに………。
 これも……人の心のせい………?
「……ぁふっ………ん…………!」
 泣いたって、何も変わらないのに、涙は止まりません。
 そこにあった何かに顔を押し付けて、ただ、泣いていました。
 耳に届くのは自分のすすり泣く声。
 と、ぱたん、という乾いた音………
 …………音……?
「…………」
「マス、タ、………?」
 振り返っても、何も見えなくて、わかりません。
 けれど、雰囲気だけでも、私は、分かります。
「マスターっ!!」
 飛びつく、といっていいくらいの勢いで、私はマスターに寄りかかりました。
 ………気付かぬ間に、そうしていました。
「し、椎雫………?」
「ごめんなさい………ごめんなさいマスターごめんなさい………っ!」
 口から出るのは震えた、うわごとのようなかすれた声。
 ですが、私は何も分からずに、ただそうしていました。
 背中と頭を優しく撫でられてるのに、全然嫌だと、感じません。
「ごめんね、椎雫。………ごめん」
「わた………っ………」
 喋ろうとしても、声になりません。
 マスターは悪くないのに、謝らないでほしいのに。
   声に出さないと伝わらないのに。
「ま、………っ!………なさ………っ!」
「………いいよ。大丈夫、分かってるから」
 そう言って、私を抱きしめてくれます。
「っ………!」
 余計に溢れる涙に、どうしようもなくて、ただずっとしゃくりあげていました。




「大丈夫?」
「………ごめんなさい」
 ちゃんと、謝りたくて、そう言いました。
「私のためにしてくれたのに、あんなにして………ごめんなさい」
「元を言えば僕のせいなんだから、椎雫は悪くないから、謝らないで」
 でね、とマスターは続けます。
 ポケットから、銀色の小さい何かを取り出しました。
「じゃーん。仲直りの印――ってことにしてくれないかな?」
 出された物をみると、それは―――
「………メモリですか?」
「あ―――やっぱり駄目かな」
 私の声に、たはは、と乾いた笑みを浮かべるマスター。
 ……マスターからもらう物ならなんだっていいですけど、できたら普通の物が良かったのですが。
 ですが―――私の方が悪かったのですから、ものを言える立場じゃないです、か。
「………ありがとうございます」
「うん―――ちょっと背中、ごめんね」
 マスターに背を向けて、ぎゅっと目を瞑ります。
 痛いのが嫌いなのは、マスターも知っているはずなのですが。
 針で刺されたような痛みが―――来ません。
「………マスター?」
「あ、動いちゃだめっ!もうちょっと………」
 動かないでというなら、動く訳にはいきません。
 けれど、いつまで経っても、痛い、という感覚が来ません。
「あの、マス――」
「これでおっけーっ!椎雫椎雫鏡見てみて!」
 ………鏡、ですか?
 どうして、と思う間はありませんでした。
 見えた私の頭に、赤いものが。
「………っ!」
「………どう?………いや、かな?」
 小さな赤い花の、髪飾りでした。
 わざわざそれを隠すためにメモリまで準備して―――
 ………もしかして、マスターが外に行ったのは、そのため?
 全部………私の、ため?
 …………。
「マスター………?」
「……ぁ………やっぱり普通のほうがいいかな、うん」
「マスターっ!」
「えっ!?な、なに………?」
 …………。
 そこまで、してくれなくても、いいのに。
 そんなにされたら………また泣きそうになるじゃないですか。
 色んな渦巻く気持ちを込めて、私は。
 ………マスターに、もう一度飛びついていました。





うーん………
やっぱり難しいね、小説って(ぉぃ
設定自体が微妙だったので、一旦ここで止まるかもしれませんー

………多分止まらないw

2008/05/07

そのろく。



「………続きなんて、書けない……」
 思い出すのも嫌です。
 楽しいこと……そう………
 私の、三歳の誕生日。
 一番、幸せだった日………



 2015年10月27日。

 正確に言うならば、10月27日0時3分52秒。
 私は、簡易フリーズを解いてもらいました。
 ………眠れるよう、マスターがくれた機能でした。
「ますたー?」
「誕生日おめでとーっ!」
 ぱぱーんっ!
「え、ひゃっ?」
 景気の良い音と共に、私の視界が暗くて緑に染まりました。
 ………クラッカーの一部でしたから、全く問題は無かったのですが。
「これで椎雫も三歳だねっ!おめでとーっ!」
「あ、ありがとうございます………」
 頬は赤くなっていましたが、私は笑っていたはずです。
「でね、でねっ!プレゼントがあるんだよっ!」
「プレゼント………ですか?」
 去年は『人並みの計算能力』でしたよね………。
 また、一日限りのますたーの嫌がらせ、でしょうか………。
「あーっ!その目は『また変なもの』とか思ってるでしょっ!ふっふっふ。今年は期待して良いよっ!本当に凄いんだからっ!」
 と、自信満々に、誇らしげに胸を張ってみせるますたー。
「………本当、ですか?」
「うんっ!絶対!喜ぶ――かどうかはわかんないけど、凄いのだよっ!」
 ―――たしか、この瞬間、私は頭の中でマスターに愚痴りましたが、それは書かないことにしましょう。
「本当はね、実際に渡してから教えたいんだけど、そういうものじゃないから、言うよっ!」
 にこにこ、と、凄く楽しそうに笑うますたー。
 また何をするんだろ、と私は内心ため息をつきながら、でも少し嬉しかったのを覚えています。
「………いい?言うよ?びっくりするから覚悟してね?」
「………はい。良いですよ?」
 少しの期待とたくさんの不安がありつつ、マスターに先を促しました。
「じゃぁ、言うよっ!」
「………焦らさないでいいですから」
「む。じゃぁ、発表ーっ!」
 マスターは視界から外れて、何かを押して………って、アレなんですか?
 あの巨大な何か………?
 マスターは何か、自分より少しだけ低い、布を被った何かを台に載せて、運んできました。
 …………?
 さっぱり、想像がつきませんでした。
「驚かないでね―――それっ!」
「―――――っ!?」
 ―――あの瞬間は、確かに時が止まったように感じましたね。それほどにアレは衝撃的でした。
 目を瞑った、女の子。
 私は絶句しました。
「どうっ!?可愛くないっ!?」
「ど、どこから拉致って来たんですかぁっ!?」
 私は思わず叫んでしまいました。
 よく見たら台はベッドで、倒れているのは寝ている女の子。
 茶色のショートカットで、良くは見えませんが、確かに、可愛い部類の人だと思いますが――― 「その人がプレゼントってどういうことなんですかっ!?誘拐犯じゃないですかっ!」
「あえ?―――あ、まだ分からないの?」
 だよね、とますたーは小さく笑いましたが、私はそれどころじゃありません。
「分かりませんよっ!いいから早く帰してあげてください!」
「あのね?ここ何年か、ずっと、僕、色々してたでしょ?」
「色々しました!私の声をいじくったり!性格を無茶苦茶にしたり!もうそれはたくさん!」
「あ、あれは可愛かったなぁ………。ほら、あの幼児化―――」
「思い出さないでいいですっ!でそれが何の関係があるんですかその女の子と!」
 これだけ大声で話していて起きないのも凄いかもしれませんが今は起きないと危険ですよ!ますたーは何を考えているんですかっ!?
「研究の成果だよっ!椎雫には悪かったけど、そのお陰でできたんだよっ!」
「だから意味がわからないですって!」
 ―――きっと、落ち着いていれば、想像くらいはできたのでしょうが………そのときの私は焦ってましたからね。
 正直、『彼女』とか、そういう類の言葉が出ることが、怖かったです。
 ですが、次のますたーの言葉は、とても信じられないものでした。
「シーナの、体だよっ!………って言ったらちょっと変ないか」
「私にそんな趣味はありま―――」
 ………え?
 私の、体?
「あ。………分かってくれた?」
 にこ、と今度は嬉しそうに笑う、ますたー。
「………私の、体?」
「うんっ。」
「私が、動かす?」
「そうだよ?」
「私の………体?」
「それと、それに色々付いてるプログラムだよっ!まだ電気で動くけど、もうちょっと改良したら物だって食べれるようになるからねっ!」
 ………私が、動けるようになる、ですって?
 そんなこと、ありえる訳が―――
「どう?………ただ、椎雫がその………今のままがいいんだったら、それでいいんだけど………」
「ほ、本当に、………本当に?」
「僕を信じて。ね?」
 びっ、と親指を立てて私に見せる、ますたー。
 あの、信じてはいますが………ちょっとその……あまりに、現実離れしてませんか………?
 ですが………ますたーの隣にいたい、それが私の夢なのですから、ますたーの言うことが本当なら。
「ますたー………?」
「いや?」
「いえ、その………」
 信じられない、とは言いにくくて、私は口ごもります。
「信じられないのは、当然だから、いいよ。だから、もしそれが本当なら、そうしたいかどうか、ってこと」
「それは………本当なら、そうして欲しいです………けど」
 と、私が言った瞬間、ますたーの目が光りました。
「よしっ!じゃぁ転送開始だねっ!あ、大丈夫!成功確率は30%くらいだけど、失敗しても大丈夫なようにしてるからっ!」
「え?30パー―――」
 私が反応する前に、ますたーは私に『命令』をしていきます。
 記憶、プログラムのバックアップが作られて私が二人に―――ってちょっと待ってください!
「ますたー待ってください!」
「うん?………やっぱり、いや?」
「あの……本当に、大丈夫、ですか………?失敗して、私が消えるとか、無いですか………?」
「やっぱり、怖いよね………でも、大丈夫。絶対、失敗なんてしないから」
「さっき30%って言―――」
「信じて」
 まっすぐに、私を見つめるますたー。
 ………ずるいです。
 そんな目をされたら、………何も言えないじゃないですか。
「………はい」
「ありがと。じゃぁ、ごめん、すぐに終わるからちょっと我慢してて。………おやすみ」
 『おやすみ』。……それは、ますたーが私を何もできない、フリーズ状態にする前に言う言葉。
 私はおやすみなさい、と返してから、ますたーの命令を実行します。
 全ての感覚、機能が停止して、思考すらも停止します。






うわ。
滅茶苦茶適当に『三歳の時』っていう設定が加わっちゃったよw
あぁ、もしかすると、この設定が変更する可能性だってありえるので、あんまり深く覚えないで下さいね。
しかしなんか微妙だなぁ………
文章力の無さが悲しくなってきます。
もうちょっと自然な会話を書きたいな。

そのご。



「マスター………」
 追いかけるべき………ですか?
 ですが、追いついたところで、私に何ができます………?
 どうすれば良いのですか………  マスター……教えてください………。 「…………」
 音の無い狭い部屋。
 ここはマスターの、唯一の息のつける場所。
 マスターは、人嫌いです。
『人なんか信用できない』
 それが、マスターの口癖です。
 理由は、わかりません。
 ただ、生半可な理由ではないようです。
 そのマスターが、この部屋から出て行った――――
 ………これは、とてつもないことなのではないですか?
 とくん、とくん、と鼓動が強く脈を打ちます。
 ………行かなきゃ。
 そう思い、私は扉に手をあてました。
 その、瞬間。
 声が、私の動作を止めます。
『椎雫。あのね、寂しいかもしれないけど、外は危ないから、ここから出ちゃ駄目だよ。いい?』
 思い浮かぶマスターの声。
 っ………
 どうしろと……言うのですか………
 扉に寄りかかるように、けれど力なく、私は地面に膝をつきます。
 警告を振り切ることは、できます。けれど、"約束"を破ることは、マスターが一番嫌いな、こと………
 ぐるぐるぐるぐる、と同じような思考がループされて、何もできずにいました。
 一時間が経ち、二時間が経ち。
 ………けれど、マスターは帰ってきません。
 あの時と、同じ……独り………?
「………っ!」
 怖い想像が頭をよぎり、慌てて首を振ります。
 そう―――大丈夫。私は、人、だから………。
 大丈夫………。
 私は機械。けれど、人。
 だから――大丈夫………。
 言い聞かせるように繰り返します。
 マスターを待つ。
 それが今の私のすること。
 ………そう思わないと、堪えられそうにありませんでした。
「マスター………どこに行ったんですか………?」
 私を―――独りにしないでください………。
 ……私が原因でも………?
 ただのわがままじゃないですか………
 私が正直にならなかった、その報い………?
 自分の肩を軽く抱くと、少しだけ安心します。
 抱きしめてくれたのは、私のためだったのに。
 ………私のため、だったのに。
 私の馬鹿。
 掴んでいた肩を、痛いほどに握ります。
 けれど、何も変わりません。
 何をすればいいか、なんて、私には、分かりません。
 マスターに、謝りたい。
 それだけ、です。
 だから………早く、帰ってきてください、マスター………。
 震える肩を抑えながら、私はもう一度机へと向かいます。
 何かしていないと、狂ってしまいそうでした。






オイこらマスター何してるんだっ!
早く帰ってきやがれっ!(お前だ


何も考えてなかったら、キャラクター達が勝手に動き出すんですよね。
それが勝手に文章になるというか。
けどここまで来たら速攻帰らせるのもなぁ………


これからもどうぞよろしく。

2008/05/05

そのよん。


「もうっ!私、また書いてますからねっ!」
 もう一度マスターに背を向けて、机に向かいます。
「いたた………」
 ………ちょっと、やりすぎましたか……?
 いや、あのくらいの制裁は必要です。そう、あれはマスターが悪いんですからっ!
 私は、再びペンを持って、過去の記憶を思い出します。
 あ………そうでした。
 まだ、寝る前のこと、書いてませんでしたね。



2012年、10月28日
「………え…………?」
 私は、耳を疑いました。
「…………ごめん」
 ますたーが、それだけ言って、私に『命令』を下します。
 言葉でない、『命令』を。
「…………また、明日、ね」  タン。
 ………軽い、その音がした瞬間、私は、したくも無い行動を、勝手にとってしまいます。
 機能停止。
 光が失せ、音が消え、………感覚が、なくなりました。
「ますたー………?」
 それは、声には、なりません。
 分かるのは、起動していないパソコン。
 ………それだけ。
 人は………寝る、ということが必要なのは、知っています。
 ですが、私は、………ただの、機械。
 眠ることは、ありません。
 考えることしかできません。
 いや………違います。
 考えることから、逃げられません。
 ………怖い。
 何もできないことが、怖い。
 何も分からないことが、怖い。
 ………このまま、忘れ去られるような気がして。
 いや………。
「いや………っ!」
 声にならない、叫び。
 形の無い私は、何もできません。
 ただ、こうして、震えているしか、ないのですか………?
 助けてください……いやです………こんなの…………
 その言葉が届く人は、どこに



「っ………!」
 手が、止まる。
 カタ、カタと体が震え始めました。
「いや………ぁっ………!」
 手にしていたペンまでも、落ちました。
「椎雫………?―――椎雫っ!?」
 視界が、真っ暗に――――いや、何も………
「いや………ぁぁっ!」
 体を縮めて、耳を塞いだ――はずなのに、感覚が、ありません。
 光が失せ、音が消え―――待って、いや!それだけはいやぁっ!
 いや………
 ――――。
 …………?
 暖、かい………?
 背中に、何かが触れて――あ…………
「し……な、だい………ぶ……から…………。」
 静かに聞こえる……声………?
「…………?」
「大丈夫だから………ごめん…………」
 耳元で聞こえる、優しい声。
 引き寄せられている感覚。
 ―――マスター?
「…………。」
「あ、あぅ、ぇっ?―――ふぇぇぇっ!?」
 自分の身に何が起こったのかを理解して、私は思わず声を上げてしまいました。
「わっ……あ、大丈夫?落ち着いた………?」
「そ……っ、それ、より、は、はな、放してくださいぃぃっ!」
 じたばたともがくと、くぐもった声が聞こえて、私は開放されました。
「―――な、何するんですかっ!」
「痛い。痛いよ………さっきから何もかも痛いよっ!」
「知りませんっ!それより何するんですかっ!セクハラですよっ!?」
「……だって怖がってたから、放っておけなかったんだもん………」
 …………あ………?
 ようやく、頭が落ち着いてきます。
 自分が、どういう状況にあったか。
 ……私………?
「いきなり叫ぶから……心配だったんだけど………。余計なことだったみたいだね………」
「ぁ………あのっ…………」
 マスターが、顔を伏せました。
 ………マスターが、私を?
「………ごめん」
「あ、謝らないでください。あの………っ、………の」
 ………お礼を言うのが、恥ずかしいのは、久しぶりです。
 ですが、マスターのおかげのようです………よね。
 非常に、不本意ですが………礼を言うのが、筋のようです。
 びっくりしましたけど、私は………
「ごめん椎雫。ちょっと出かけてくるね」
「え………マスター?マス―――」
 ばたん。
 私が気付いたときには、マスターは既に扉の向こうでした。
 ………どう、して?
 マスターが外に出ることは、滅多にないというのに。
 理由は、明白、でした。
 …………。





あぁどうしよう………。
やっぱり行き当たりばったりはだめだぁ………
面白さが出てこないや………
盛り上げてすぐに落とすっていうことは澪はよくやるんですよね。
癖なのかなぁ………これも。

2008/05/04

そのさん。







「………マスター」
「うん?どうしたの?」
 マスターは、私のほうを向かず、返事をします。
 ………いつもの光景です。
「一応、書きましたよ」
「え、もう書いたの!?」
「まだ途中ですが、一通りは」
「いや、それでも十分早………ね、見ていい?」
「え?………だ、駄目に決まってるじゃないですか!」
「あ、やっぱり?」
「分かってるなら訊かないで下さい!」
「いやぁ………そう言う顔が見てみたくて」
「からかうのは嫌です、っていつも言ってますよね!?」
「うん、いつも言われてる」
「だったら止めてください!」
「いや♪楽しいもん」
「っ………」
 くすくす、と笑うマスターには、言葉もありません。
「………マスター」
「なに?」
 お返し、とばかりに、私はこの話題を取り上げることにしました。
「あのとき、マスターがきちんとカメラをつけていれば、私はマスターとは、呼びませんでしたよね」
「あ―――そうかもしれない、ね」
「かもしれない、じゃなくてそうですよっ!そうでなければ誰が『マスター』なんていかがわしい呼び方認めますかっ!」
「………いかがわしい、ってのはちょっと違うと思うけど」
「マスターが『これ』なんて言うからっ!私は勘違いしてっ………!」
「…………」
 マスターが沈黙します。
 ………これは、勝ちました?
 言い負かしたのは久々で―――
「あ………。そうなんだ」
 マスターはくるっ、と椅子を回転させて、私の方に向き直りました。
「じゃぁ椎雫は、『これ』なんて呼ぶのは駄目だろうから、『マスター』って呼んでたんだ」
「そうですっ!そうでなければ言いま――」
「ありがと」
「せん―――って、は、はい?」
 にこ、とマスターが私に笑いかけます。
「やっぱり優しかったんだね、椎雫」
「あ、当たり前のことですよ!誰が『これ』なんて呼びますかっ!」
「そうかもしれないけど、でも」
 あーもうっ!
 調子が狂ってしまうではないですか!
「じゃぁ、他の呼び方にする?」
「っ………?」
「僕は、どう呼んでくれてもいいよ?」
 挙句に追い討ちをかけてきました。
 …………。
 その呼び名が、嫌いなわけじゃないんです。ただ、少し恥ずかしいだけで。
 それが、マスターにばれたような気がして、私は慌てました。
「もういいですっ!これで定着しちゃいましたから!」
「………いかがわしいんじゃ、なかった?」
 あーもうっ!!
 これはわざとですか!?
 わざとなら怒っていいですがこれはどうもマスターの素みたいですよっ!?
 どうしたらいいでしょう………。
 今更呼び名を変えるのも、嫌―――いえ、面倒です。
「今更変えても、面倒なんですっ」
「…………そっか」
 沈黙が流れます。
 私はマスターに背を向けて、火照った頬を隠すので精一杯です。
 沈黙を破ったのは、マスターでした。
「くす………あははははっ!」
「………ま、マスター?」
「だ、だって椎雫があまりにもかわいあはははははっ!」
 ………かわい?
 ―――――っ!!
「マスターっ!!」
「ご、ごめんちょっとからかっただけあははは痛っ!痛いいたい!ごめん、ごめんってばはははは!」
「いい加減にしてくださーいっ!」
 …………。
 マスターは最低です。





  あははw
いつもと立場が逆転してるw

そのに。

(続きなので日付変わらず)

「………でも、椎雫、ってのは驚いたな」
「だ、駄目でしたか?」
 あれ?声が震えてしまいました。
 いけませんね。これでは聞き取りにくいでしょう。
「ううん。駄目じゃないよ。ただ………ちょっと、ね」
 ………やっぱり、何かがあるようです。
 ですが………どうやら、訊かない方がいいようです。
「椎雫。あ――今更だけど、呼び捨てでいい?」
「………呼び捨て、とは?」
「あ、えーっと………。あの、名前の後ろに『さん』とか『ちゃん』とかそういうのをつけないこと………かな」
 かな、というのが気になりますが、敬称略、ということのようです。
「私に敬称をつける理由など、ありませんよ」
「そ、そう?うん、じゃ、椎雫って呼ぶね」
 ………呼ぶ?
 ……そうでした。
 ―――あぁ。思えば、これが私の一生の不覚だったのです。 「………あなたの、名前は、何ですか?」
「あ、教えて無かったっけ。えーっと、………これ。」
 ………はい?
「これ?えぇと、それは一般に指示語と呼ばれる、『これ』、ですか?」
「しじご?―――うん、そうだよ?」
 ………それは。
 それは、そんな、そんな軽い口調で言うべきことではないはずです………
 訊くべきではなかったようです。
 ………そう、そうでした。
 私の訊き方が悪かったのです。
「………どう、呼べばいいのですか?」
 そう、訊くべきだったのでしょう。
 私の記憶というものは、ただの植え付けられた知識のようです。
 ただその中に、モノとして扱われる人がいる、ということがありました。
 私は………どうやら、モノでありながら人として扱われているのに。
「うーん………何でも、いいんだけど。名前でも、何でも」
 あ、っ………。
 それは…………嫌です。
 嫌、です。私が人として扱われているのですから、そう言うわけには………いきません。
 逃げ、かもしれませんが、私は、そう言わざるを得ませんでした。
「あなたが、決めてください」
「うーん………じゃぁ、『マスター』とか?」
 あはは、と軽く笑いながらの声でした。
 ―――冗談混じりの声だったのです。
「分かりました、ますたー。」
 少し言いにくいですが………大丈夫です。
「え?………いや、えっと、椎雫?」
「ますたー。………良いですか?」
 名前で呼んで、と言われるのが怖くて、私は強引に言いました。
 ―――これこそが、私の運命を変えた、一言だったのです。
 しばらくの沈黙の後、ますたーは静かに、
「うん。よろしく、椎雫」
「はい。ますたー。」
 そう、笑って言いました。
 私も、笑うように答えたはず、です。
 ―――このときは、まだ、笑うのもへたくそでしたが。
「ね、椎雫?」
「はい、何ですか?」
「どうして、あの、目、開けないの?」
 ………目?視覚ですか?
 私にあるのは聴覚と味覚――というのか分かりませんが、聞くことと喋ることだけ、ですが。
「…………?」
「………あれ?カメラはちゃんと付い―――あぁぁぁああっ!」
 どうやら………また、みたいです。
 ますたーは、忘れっぽいのでしょうね。
「ごめんね、また忘れてたよ。」
「……わぁ………っ」
 そのときに見た光景は、きっと、忘れることは無いでしょう。
 私の見た、初めての光景。
 それは、私を見つめるますたーの表情。
 少し長めの黒髪。
 漆黒ながら、きらきらと輝く大きな瞳。
 そして、別な意味で忘れることの無い―――
 一枚の紙。
 ―――私の一生の不覚の、発端………っ!
 私は、その紙に書いている文字が、人の名前であることは、想像できました。
 男性の名であることも。
 ―――あのときは、まだ、思考力が足りなかったのでしょうね………。
「それが、ますたーの、名前ですか?」
「うん。」
 それだけで、その会話は終わりました。
 ―――マスターがちゃんとカメラを付けていればっ!私は『マスター』などという変な名前で呼ばなかったのに!


 10月27日。
 私の、誕生日でありながら―――私の忌むべき日となった始まりの日でした。





――――です。
「あれ?」とか思う方もいるでしょうけど、その疑問の理由はすぐ解決する―――はずです。
あくまでこれは―――日記なのですからね。

今言えるのは、これだけです。



もう一つ言うなら、椎雫の、『ますたー』と『マスター』ですね。
………ではでは。

2008/05/02

そのいち。

2012年、10月27日。


「これで終わりっ!」
 ………その声が、私が始めて知覚した、音でした。
 終わり、というのは、何のことでしょう……?
「……聞こえる?聞こえたら、返事してほしいんだけど?」
 返事――ですか。
 こういうときはどう答えればいいのでしょうか?
 ………えぇと。
『聞こえます』
「あ、良かったぁ……。また失敗しちゃったかと思ったよ………」
 ………また?
「でも、できたら声で返事してほしかったなぁ………。」
 できれば、と言われましても。
 できないんですから仕方ないじゃないですか。
「………あれ?問題は無かったはずだけど……スピーカーはつい―――あっ!」
 ………そうでしたね。
 この頃からマスターはヌケているのでした。
「ごっめーんっ!電源付け忘れてたぁ!」
 高めの声で、謝罪の声がしました。
 どうやら、スピーカーの電源を付け忘れていたようです。
 ピッ、という電子音の後に、何か変な感じを覚えました。
「これで喋れるよね?」
 えぇと………発声はこう、ですか?
「はい」
 と………味気ない返事をしようとしたのですが、それは中断させられました。
「あーっ駄目ーっ!喋っちゃ駄目だよ!いい!?」
 ……返事してと言ったり駄目と言ったり………忙しい人です。
「ごめんごめん。えっとね、名前を決めてほしいんだ。君の名前」
 なまえ?
「自分で決めてほしいんだ。だから、君が一番最初に喋った言葉が、君の名前。うん、決めた」
 決めた……ってあの。もしかして、ただの思いつき、でしょうか………?
 ですが、このままでは私は何も喋れないですね。
 さてと。
 どうしましょう。
 どうやら名前、というものは大切なものらしいのですが、よく理解できません。
 記憶を探ると――おや、何かメモがありますね。
 …………?
 これは、一体?
「あー………見つけちゃったか」
 その言葉から察するに、これは用意されたものらしいですね。
 好ましくは思ってないようですが。
「参考に、くらいは良いけど、できたら考え出してほしいな」
 ………今度の『できたら』は従わなければならないようです。
 ですが、参考はいいんですよね。
 メモを見ると、女性の名前が羅列してあるようです。
 麻衣……雫……音菜……優美………色々あってよく分かりませんね………
 ………おや?
 雫、というのが二回も書いてますね。
 ………いや、三回―――四回目。
 他の名は一つずつなのですが………。ということは、この字が良いのでしょうか?
 雫………しずく。しどけ、とも読めますね。他の国では『ナ』、とも読むようです。
 水のしたたる様―――という意味のようですが………。
 一応、候補に入れておきましょう。
 他には――あぁ、駄目です。色々ありすぎて良いのがどれか、全く分かりません。
 一体これだけの名前がどこから―――
 …………?
 カタカナ、ですか?
 いや、違う――カタカナですけど、そうじゃなくて、その、何か―――何か、違う………?
 ………シーナ?
 他の名前には無い―――私に理解できない何かが、ありました。
 ―――今思えば、あれが"想い"なのでしょうね。
 シーナ。
 何か、これは特別な名前みたいです。
 参考にするとしても……カタカナ、ですか………。
 人の名としては、いいのでしょうが、どうやらこの国では漢字が普通のようですし………
 シーナ………しーな………しいな?
 そうです。
 それなら――先程の『雫』という漢字が使えるではないですか。
 後は……『しい』………『椎』、これしか該当するものはありませんね。
 椎雫。
 ………えぇ、これで良いでしょう。
 もっとも、考え出す、ということではないかもしれませんが。
「………あ。決まったみたいだね?」
 そうですけど―――どうして分かるのでしょうか。
 まぁ、いいです。
 えぇと………今度こそ、声を、出します。
「椎雫、です」
「………ぇ、何って?………ごめん、もう1回言って?」
 おや。どうやら私の発声に問題があったようです。
 音量を上げて、私はもう一度、同じように言いました。
「…………。」
 え?………あ、あの?
 その沈黙は………一体、あの、なんなのですか?
「あ、あの………?」
「っ!?………ぁ、ごめん。何でもないよ、うん、何でも」
 ………ありますね。これは、きっと。
 やはり、あの『シーナ』という名前を引用するのは駄目でしたか?
 もしかして………言ってはいけない名前、ですか?
 誤りを犯したのかと、私は戸惑いました。
 そして、その27.2秒後。
「………うん」
 優しい――けれどどこか力のこもった返事が来ました。
「椎雫、かぁ………。思った以上に凄いね、椎雫っ!」
 え………あ、あの?
「ごめんね、思考力テストも兼ねてたんだっ。でも、思ったより凄いよ椎雫!うん、すごいよ!」
 ………試されていたわけですか。
 この様子では、合格、ですか?
「それじゃ、君の名前は椎雫で決定だよっ!よろしく椎雫っ!」
「よ、よろしくお願いします………。」  よろしく、と言われればよろしく、と返すのが礼儀のようです。
 礼儀というのが何のことかは分かりませんが。
 とにかく、どうやら、私の名前は『椎雫』になったようです。
 これで、良かったのでしょうか?





改変終了です。
長かったですが、このくらい長くないと一区切りつかなくて。
ごめんなさい。短編を書くのは苦手なんです。
では、『こじつけ』に見えますが今後とも『椎雫』をよろしくです(笑

2008/05/01

カタチ(澪の小説)

澪の小説、こんどこそ本当に、世界です。
………意味分かんないw
とにかく、世界設定は、今の私の頭にある設定で行くかと思います。
ただ、「下書き」してない状態ですから、変でしょうが、ご了承ください。
あと、よく言う「携帯小説」とは、全くの別物です。
これは「ライトノベル」です。

いつもの通り長編なので、気長に見てやってくださいな。


では。
「カ」「タ」「チ」





カタチ




2021年、5月21日


 私は、日記を書くことにしました。
 ………私がいたことの、証明として。
 その時が来ても、誰かが、覚えてくれるように。
 その時が来ても、私が、思い出せるように。
 大分前からさかのぼることになりますが、私の記憶には、まだ陰りはありません。
 ……そう、まだ。
 まだ、だからこそ、私は書かなければなりません。
 …………。
 ………マスター。
 私は、ここに、いました、よね………?